伊丹の町のあちらこちらに、歌碑が伊丹市文化財保存協会などにより数多く建立されています。
 休みの日に散歩がてら見つけた歌碑を載せていきたいと考え、このページを作りました。
 いわば現代版「ディジタル拓本」と洒落てみました。


伊丹市文化財保存協会「文学碑をたずねて」


  ↓ 見たいページの読み人か写真をクリックして下さい。

1 藤原良経 (猪名山の道のささ原・・・)
猪名山の 道のささ原埋れて
落葉が上に 嵐をぞ聞く

2 藤原定家 (ゐなやまの山のしつくも・・・)
ゐなやまの 山のしつくも いろつきて
しくれもまたす ふくるあきかな

3 読み人しらず (志長鳥猪名野を来れば・・・)
志長鳥 猪名野を来れば 有間山
夕霧立ちぬ 宿はなくして

4 上島鬼貫 (おもしろさ急には見えぬ・・・)
おもしろさ 急には見えぬ すすき哉

5 源実朝 (しながどりいなののはらの・・・)
しながどり ゐなののはらの ささまくら
まくらのしもや やどる月かげ

6 上島鬼貫 (咲からに見るからに・・・)
咲からに 見るからに 花の散からに

7 和泉式部 (津の国のこやとも人を・・・)
津の国の こやとも人を いふへきに
ひまこそなけれ 芦の八重葺

8 曽根好忠 (川上やあらふの池の・・・)
川上や あらふの池の うきぬなは
うきことあれや くる人もなし

9 藤原為家 (たひころもつまふくかせの・・・)
たひころも つまふくかせの さむき夜に
やとこそなけれ ゐなのささはら

10 猿丸大夫 (しながどり猪名のふしはら・・・)
しながどり 猪名のふしはら 青山に
ならむ時にを いろはかはらむ

11 藤原忠通 (有間山裾野之原爾・・・)
有間山
裾野之原爾
風吹者
玉藻波依
昆陽能池水

12 読み人しらず (しなが鳥猪名野をゆけば・・・)
しなが鳥 猪名野をゆけば 有馬山
夕霧立ちぬ 明けぬこの夜は

13 藤原定家 (新雨初晴池水満・・・)
新雨初晴池水満
恩波風緩楽豊年
遠松迎我如親故
群鳥驚人争後先
暁涙伴来江館月
春望相似洞庭天
廻頭遥顧青巌路
漸隔帝都山復川

14 待賢門院堀河 (こやの池に生ふる菖蒲の・・・)
こやの池に 生ふる菖蒲の ながき根は
ひく白糸の 心地こそすれ

15 高市連黒人 (吾妹児ニ猪名野者令見都・・・)
吾妹児ニ
猪名野者令見都
名次山
角松原
何時可将示

16 村上潔夫 (ところえて千代もすまなむ・・・)
ところえて 千代もすまなむ たずねても
こやてふ池の 岸のまつかげ

17 中村良臣 (志ら露をたまにぬきとめ・・・)
志ら露を たまにぬきとめ をとめこか
かさしにまかふ あきの萩ハら

18 慈円 (ゑにかきて今唐土の・・・)
ゑにかきて 今唐土の 人に見せむ
霞わたれる 昆陽の松原

19 上島鬼貫 (世を泥と見る日も白き・・・)
世を泥と 見る目も白き 蓮かな

20 夏目甕麿 (遠つあふみ入江の月の・・・)
遠つあふみ 入江の月の おもかけも
思ひそ出る 昆陽の大池

21 西行法師 (冴る夜はよその空にぞ・・・)
冴る夜は よその空にぞ 鴛鴦も鳴く
凍りにけりな 昆陽の池水

22 日野草城 (かいつぶりさびしくなれば・・・)
かいつぶり さびしくなれば くぐりけり

23 上島鬼貫 (月なくて昼は霞むや・・・)
月なくて 昼は霞むや こやの池

24 大弐三位 (ありま山ゐなのささ原・・・)
ありま山 ゐなのささ原 風吹けば
いでそよひとを わすれやはする

25 藤原俊成 (はつしもハふりにけらしな・・・)
はつしもハ ふりにけらしな しながどり
ゐな乃ささはら いろかハるまで

26 飯尾宗祗 (このハくち水草きよき・・・)
このハくち 水草きよき 川邊哉

27 後醍醐天皇 (命あれば昆陽の軒端の・・・)
命あれば 昆陽の軒端の 月も見つ
又いかならん 行末の空

28 行基菩薩 (山鳥のほろほろとなく声きけば・・・)
山鳥の ほろほろと なく声きけば
父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ

29 猿丸大夫 (しながとりゐな山ゆすり・・・)
しながとり ゐな山ゆすり 行みつの
なのみきにいりて こひわたるかな

30 梶井基次郎 (庭にはイチハツが盛りを過ぎ・・・)
五月六日
庭にはイチハツが盛りを過ぎ、平戸がさきはじめ、
薔薇は日光の下にその新しい芽をうな垂れている。
風は南西、よく伸びた南天の若葉をそよがせて、
部屋のなかへ吹き抜けて来る風を楽しんでゐると、
どこか気持ちのよい温泉へでも来てゐるやうな気がする。
かなめの垣がまた赤い芽を吹いている。

31 源重之 (芦の葉にかくれてすみし・・・)
芦の葉に かくれてすみし 我がやどの
こやもあらはに 冬はきにけり

32 鴨長明 (津の国のこやの芦手ぞ・・・)
津の国の こやの芦手ぞ しどろなる
難波さしたる あまの住ひぞ

33 能因法師 (芦のやのこやのわたりに・・・)
芦のやの こやのわたりに 日は暮れぬ
いづち行くらむ 駒にまかせて

34 西行法師 (津の国の芦のまろやの・・・)
津の国の 芦のまろやの 寂しさは
冬こそわけて 訪うべかりけれ

35 藤原家隆 (たちかへりみちあるみよに・・・)
たちかへり みちあるみよに あはむとや
をなしこやのの まつむしのこゑ

36 大江匡房 (つのくにあしの葉しのき・・・)
つのくにの あしの葉しのき ふる雪に
こやのしのやも うずもれにけり

37 伴林光平 (分来てし其世は夢と・・・)
分来てし 其世は夢と 成りぬるを
何たとらるる 猪名のささ原

38 加納諸平 (こをだにと折とる袖に・・・)
こをだにと 折とる袖に 且落ちて
露よりもろき 玉つばきかな

39 与謝蕪村 (酒一樽いな河の小魚・・・)
 追啓
酒一樽いな河の小魚
右両品共に六月六日夕かた
京着いたし神事之間ニ
合忝存候。しかしいな河の魚ハ
腐れたゝれて臭気
甚しく一向やくニ立ず
四ツ辻へすてさセ申候。捨テニ
行者 鼻をふさき 兒を
肖け候て持出し、飛脚屋より
持参り候男も道 くさきニ
こまり候よし小言を申候。
いか様炎熱き時節
所詮京迄ハ持かたく候。
向後暑中ニ河うをなと
御登セ被下候義 御無用ニ御座候。
折角御親切にこゝろを
御つくし被成候ても用に立不申
其上駄賃の費 彼是以
無益之事ニ御座候。御存意之
はとハ甚かたじけなく候。右の
義申進候事いかゝニ存候へ共
向後御心得のためニ御座候故
無遠慮申進候。以上
          蕪村
  六月十九日
 東瓦様
牡丹切て気の
 おとろひしゆふへ哉

40 梶曲阜 (天は月に遊び地は花に遊ぶ・・・)
天は月に遊び地は花に遊ぶをもて風雅
の元とす祖翁ハ奥の細道をも尋て五七五の
作意をいつ迄もつきせぬ余情定め置かれける
己も此道をしたはんとて嘉永元申年弥生の
空を待兼道祖神のまねきにあひ三りの
灸をすゆるより白川の関を越へ松嶋の月を
見んと心そゝろに茂助といふ供をつれて
杖をとりて

道ミみや尋る人も千松嶋

と一句を言ふて三月四日早朝より浪花表へ
発足す其頃天遊渓斎糸海に逗留 又
 糸海の衆中送別の句々左に

はたこ町通り過して花すミれ    天遊

あかぬ日のあかね道なりきしの声  渓斎

風流の賈家君に似たるは稀なり。
遠く名迹を指して旅衣を試む。
奇貨居くべし松嶋の翠、亳底に収め尽して
嚢を括りて帰ることを試む。    静庵

松嶋や雄しまによするしらなみの
立ちかへる日をいつとまたまし   良臣

松の香をしほりに出よ花の中    太乙

むつのくのつとの花見や嵐山    ぬか人

41 井原西鶴 (富貴の家にうまれ出るは・・・)
富貴の家にうまれ出るは、前世の種也。
莵角人は善根をして、家業大事にかくべし。
池田・伊丹の売酒、水より改め、
米の吟味、麹を惜まず、
さはりある女は蔵に入ず、
男も替草履はきて出し入れすれば、
軒をならべて、今のはんじゃう、
舛屋・丸屋・油屋・山本屋
酢屋・大部屋・大和屋・満願寺や
賀茂屋・清水屋・此外次第に栄て、
上ゝ吉諸白松尾大明神のまもり給へば、
千本の椙葉枝をならさぬ、
時津の国乃隠里かくれなし。
  『西鶴織留世乃人心』
  一、津の国のかくれ里より

42 牡丹花肖柏 (あけほのを霞にゆるす・・・)
あけぼのを 霞にゆるす あらしかな

43 藤原元親 (夢さめてやとにのこれる・・・)
夢さめて やとにのこれる 松の風
花こそあらめ 見し人もなし

44 伊丹之親 (春秋の花と月とをときならて・・・)
春秋の 花と月とを ときならて
見はてぬ夢の 暁はうし

45 荒木村重 あらきたし (思いきや・・・ 霜かれに・・・)
  あらきたし
霜かれに 残りて我は 八重むくら
なにはのうらの そこのみくつに
  荒木村重
思いきや あまのかり橋 ふみならし
なにはの花の 夢ならむとは

46 佐藤惣之助 (折りから折りからに・・・)
 伊丹で
  -鬼貫の墓に詣づ-
折りから、折りからに、秋もほのくれ
みかんの青い酒倉について
こっそり曲がった墨染寺
月夜がらすも鳴きそうな
わが木槿(鬼貫)翁のをくつきに
旅なればかたはらの鶏頭を
いささか手折りつ、ききぬ
露いっぱいの虫の音
空いっぱいのものゝ寂び音

47 頼山陽 (紅楓相暎酔慈顔・・・)
紅楓相暎酔慈顔
侍得帰興未遽還
今歳此遊堪圧尾
携将佳酒看佳山
送母西下過伊丹
遂遊箕尾
   山陽外史

48 大高子葉 上島鬼貫 (かく山を・・・ 月はなし・・・)
かく山を 引ッ立てて咲 しおに哉
月はなし 雨にて萩は しほれたり

49 若山牧水 (手に取らば消なむしら雪・・・)
手に取らば 消なむしら雪 はしけやし
この白雪は わがこころ焼く

50 井原西鶴 (あたこ火のかはらけなりや・・・)
あたこ火の かはらけなけや 伊丹坂

51 西山宗因 (天も酔へりけにや・・・)
天も酔へりけにや 伊丹の大燈籠

52 高浜虚子 (秋風の伊丹古町・・・)
秋風の 伊丹古町 今通る

53 橋本香坡 (松窓読書罷・・・)
松窓読書罷
孤艇坐新晴
一半青山影
汲来茶鼎烹
乙未暮春將西遊諸君開餞宴於遠
翠館酔中作此図為岡田兄之嘱
未巳之誤 乙者丁之訛也  香坡

54 上島鬼貫 (行水のすてところなし・・・)
行水の すてところなし 虫の声

55 池田宗旦 (踏まれけり花口惜か・・・)
踏まれけり 花口惜か 今一度さけ

56 読み人しらず (武庫河水尾急赤駒・・・)
武庫河
水尾急
赤駒
足何久激
沽祁流鴨

57 能阿法帥 (かり枕ゐなのの原に・・・)
かり枕 ゐなのの原に 夢さめて
かたふく月に しぎの立つ聲

58 読み人しらず (かくのみにありけるものを・・・)
かくのみに ありけるものを 猪名川の
おくを深めて わが思へりける

59 紀貫之 (千鳥なくゐなの河原を・・・)
千鳥なく ゐなの河原を 見るときは
大和恋しく 思ほゆるかな

60 斎藤茂吉 (猪名川の香はしき魚を・・・)
猪名川の 香はしき魚を 前に置き
食ふも食はぬも 君がまにまに

61 上島鬼貫 (秋ハ物の・・・)
秋ハ物の 月夜烏は いつも鳴

62 上島鬼貫 (骸骨の・・・)
骸骨の 上を粧ひて 花見哉

63 上島鬼貫 (鳥ハ未・・・)
鳥ハ未 口もほとけず 初桜

64 上島鬼貫 (古城や・・・)
古城や 茨くろなる 蟋蟀

65 上島鬼貫 (鵯や・・・)
鵯や 世の囀りも 石の花

66 上島鬼貫 (によっぽりと・・・)
によっぽりと 秋の空なる 富士の山

67 上島鬼貫 (前に酒家ありて・・・)
前に酒家ありて
菊のしたゝりを流し
後に松高うして
古城の昔を見す
     おにつ羅

月花を 我物顔の 枕かな

68 岡田利兵衛 (有明の岡に・・・)
有明の岡にさかへる
伊丹市の
文化のかほり
魁けて
妙なる楽のいく調べ
この館ゆ響く
いやさかに